09.06
チームE&T
9月駅チカより 思いつき榊レポート
自分が立ち上げた関内駅チカアート市ですが、ときどき「これってすごいことなんじゃないかな・・・」そう感じる場面があるのです。
9月駅チカでそう思わされたのが“チームE&T”
これは私が管理する出店者リストに便宜上つけた名前であってちゃんとした名前じゃありません。
遡ること一か月前、珍しく紫色に身を包んだヨッピーことエンヂョイ工房さん。「後でちょっと相談したいことがあるんですけど」・・・
見慣れない紫も手伝ってか「相談」というのはたいがいややこしい・・・
思わず身構えたけれど顔には出さず「いいですよ」と答える。
ことの経緯をこまかく記すと膨大な文章になるので端折りますが、“相方”のToccoさんと隣り合わせにしてもらいその一角出に店作家紹介コーナーを作ってみたいという自主企画の相談。
「それはつまりインフォメーションコーナーですよね?」と半ばあきれ気味で問い返したことを今でも覚えています。
それはそうです。みんな自分の作品を展示販売するために出店するのに「一部のスペースを他の人の紹介に割きたい」というんですから・・・
といことで一か月後。
チームE&Tはその企画を実行したのです。
狙いはものの見事に的中。E&Tのブースから、紹介作品を持って誘導するToccoさんの楽しげな顔を何度目にしたことか。
恐れ入りました。
ただ、誤解をあたえたくないので書きますが、私は、自分のブースを割いて他人に尽くすことに感心しているのではありません。
ぐうの音も出なかったのはToccoさんの発した言葉にありました。「ようは全体に新しい流れができて動きが出ればいいんですよ」。
この「いい」という言葉にはいくつもの意味があると思いますが、全体にとっていいことはもちろん、自分たちにとってもいいんだということ。
確かに、気が付かないうちに自分のブースというものは膠着化し、出店作家も常連メンバーが増えれば一層膠着化します。
しかも、コロナ禍で来場者は半減したまま戻らず、普通に考えればかなり苦しい中でピリピリしてしまっても不思議はないはず。
ところがそうならない。
そうならないのは、チームE&Tのように、常連作家が駅チカをひとつのチームのように考え、チームが活性化すればお客様は楽しく、お客様が楽しければ自分たちも楽しく、それはいずれ実になってかえってくると思って出店を続けてくれているからでしょう。
今回、9月駅チカで象徴的だったE&Tを題材にしましたが、ほかにもたくさんこの手の話があふれているのが駅チカアート市。
ひょっとすると私は、とてつもないものを手にしているのかもしれない。
2021年9月6日
工房暖簾Gallery 榊 剛史